【シャチョーが本を買う理由】『暗号解読事典』編

暗号。神秘的な、しかし極めて現実的な道具、それが暗号。

この本を見て私が想起したのは、アメリカ・ワシントンDCにある「スパイミュージアム」という博物館です。スパイの歴史をエンターテイメント性の高い展示のなかで知ることができる面白い場所ですが、暗号についても取り上げられていた記憶があります。単純な置き換え式からコンピュータによる超高度なものまで幅広く展示されていましたが、それが特に冷戦時代に一気に発達したというのは、少し背筋の凍ることでもありました。

また、シャチョーの理由を読んで思い出したのが、モンゴルでかつて行われていた花嫁の賢さテストです。動物の骨とひもを組み合わせて作った知恵の輪なのですが、これが解けるかどうかが重要な指標だったとのこと。「ひらけ」に対して「ごま」が出てくるかどうかを、より複雑な方法で試していたといえるでしょう。

これが男性側には行われていなかったことにはあまり納得がいきませんが、現代のモンゴル女性の優秀さは、このような伝統のなかで培われてきた部分もあるのかもしれません。

それにしても、本の帯に「世界史」とある通り、暗号的要素が世界共通なのは興味深いことです。神秘的かつ現実的、このツールを人々はいつの時代もどんな場所でも使いこなしてきたのですね。良くも悪くも。岡本

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これは、明確に何故買ったかを覚えている。きっかけは、ポニョだ。そう崖の上のポニョ。その中で宗介が舟に乗るお父さんに向かってモールス信号をおくっているシーンがある。それが、なんだかいいなーと思ったのと、そういえば紅の豚とかでもモールス信号や手旗信号などが出て来て、暗号って面白いなと思った。そこが買おうかなと思ったきっかけである。

そして、もう1つ理由があって、うなぎの寝床は今後人を増やしていくのか否かと迷っていた時期だった。人事というのは難しい。面接をして一瞬で人柄や能力がわかるわけはない。

しかし、人間の言動というのは、ディテールに考え方か慣習が出るものである。「ひらけ」「ごま」的な、合い言葉のような受け答えをできた人は採用というのも面白いかなとも思っていた。

例えば「余暇は何をしていますか?」という問いに対して「読書です。」と答えた人しか採用しないとか(極端ですが)、「仕事と家庭はどちらが大切だとおもいますか?」という質問に「答えられない」と答えた人を採用するとか。

それはある意味暗号的であり、問いでもあり、その人の思考でもある。そういう思考をひも解く要素が暗号にはたくさん隠されているような気がする。

難しい暗号は別として、手旗信号などはこの本を見ると非常にシンプルにできていて非常に興味深い。言語を行動で表すというのはなんとなく気持が良く、分かる人にしかわからない秘めたコミュニケーションの部分に興奮し、密かに魅力を感じている。

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『暗号解読事典』フレッド・B・リクソン、創元社、2013年

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