工場から廃棄ゼロを。余剰素材を製品に / SING
「そりゅ〜しょん展 – ものづくりと資源 –(2025年 8/15〜8/31)」に関連した特集記事です。
どうしても余る
資源課題とやわらかく向き合う
ゴムの街・久留米にルーツをもつシリコーンメーカーSING。工業用ゴム製品の製造で培った技術と経験を活かし、デスクツールやマグカップなど暮らしの中の幅広いシーンに取り入れ易いものを提案しています。
SINGでは受注に応じて素材を調合・配色されていますが、不良品や製品製造時に金型からはみ出るバリなどを考慮すると、安定して生産するためには注文量よりも多く素材を準備する必要があるそうです。その余剰分のシリコーン素材がどうしてもが余ってしまいます。
こうした余剰の生シリコーンゴムをどうにかできないかと社内で検討を重ね、手に馴染む湯呑みのような形の「BOTE」が生まれました。異なる製品で使われた色のシリコーンを混ぜ合わせ、プレス機で80tの圧力をかけながら加熱。準備したにも関わらず余ってしまったシリコーンゴムを無駄なく製品として活用する糸口になりました。SING代表・中野英司さんは以下のように話します。
シリコーン製品は金型成型品なので、同じものがポンポン量産できるイメージがあると思うんですけど、BOTEは一つ一つ個体差があって、同じものが二つとない商品に仕上がっています。うちのスタッフがそれぞれに名前をつけていて、それぞれに愛着があって、それぞれの表情がおもしろくて。そのあたりも手に取って見てもらえたらと思います。
資源の有効活用という課題に対し、つくりてとして愛着をもってつくり、つかいてとして愛着をもって選ぶ。そんな取り組みの様子が印象的でした。切実だけど堅苦しい(と思われがちな)社会課題を、落としても割れないシリコーンゴムの柔らかさ(?)のように向き合う、そんな事例の一つかもしれません。
ただし、この取り組みだけでは余った材料を活用しきることはできないとも中野さんは話します。
工場内から廃棄ゼロを目指して、まずはBOTEからスタートしましたが、実際にやってみてこんなに材料が溜まっているんだと痛感しました。SINGでは自社商品に限らずいろいろな受注製品があって、その都度余剰が生まれています。また、廃棄されるものは生の材料だけでなく、金型からはみ出たバリという部分や不良品など、加工済みのシリコーンゴムもあり、別の方法が必要です。これらは粉砕してチップにし、再度リサイクルして商品化することを、市の補助事業と連携しながら実用化を目指しています。
一筋縄ではいかない物事に向き合い、具体的に思考されていることをお話を伺って感じました。プロダクトを通して、つくる現場の試行錯誤についても考えていけたらと思います。SINGの今後の取り組みにも注目です。
荻野
SING 中野英司さん
場所 うなぎの寝床 旧丸林本家
日程 2025年8月15日(金)〜8月31日(日)
店休 火、水 (祝日営業)
時間 11:00〜17:00
住所 福岡県八女市本町(モトマチ)267
電話 0943-22-3699
駐車場 あり
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【ワークショップ】 SING・オリジナルBOTEをつくろう!
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