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【地域のこと/観光協会】町家の建築的意匠に注目!「堺屋」が残す八女の栄華。/ Yame Rediscovery vol.36

3月 1st, 2019

【地域のこと / 観光協会】町家の建築的意匠に注目!「堺屋」が残す八女の栄華。/ Yame Rediscovery vol.36

本文八女福島の白壁造りの町の一角・京町に「堺屋(旧木下家住宅)」があります。広々としていて、要所要所に職人の見事な技術が感じられるこの建物は、町家建築めぐりをする方には是非訪れていただきたい場所です。

明治41年に建てられたという建築物は、代々酒造業で栄えていた木下家の旧居で、屋号を『堺屋』と称し11代目木下治郎氏によって建設されたものです。来客用の応接間や宿泊施設として使用されたこの場所には現在「離れ座敷」「1号倉庫」「3号倉庫」が残されています。

今回は改めて「堺屋」の建築的意匠に焦点をあて、特筆すべきいくつかのポイントの特徴や技術に触れながら、ご紹介をしたいと思います。

離れ座敷にみる、京風の建築技術の粋

堺屋の魅力を作り出したのは、八女から京都にでて修行を重ねた宮大工の技術だと言われています。

玄関口から真っ直ぐに見える離れ座敷は、もっとも格式が高い屋根の形式である「入母屋造(いりもやつくり)」と江戸時代初期に開発され水はけを考えた屋根の葺き方である「桟瓦葺(さんがわらぶき)」を基本構造とし、その内装にはいくつもの工夫が見られます。

メインの入り口から靴を脱いで座敷に上がると、奥行きのある空間が広がり、襖と障子の間からは庭園の景色を望むことができます。

奥の部屋には、今では手に入らない貴重な建材を用いた「屋久杉一枚板の欄間(らんま)」「黒渋柿の柱」や、宮大工の匠技がふんだんに施された「空間を強調する折上げ天井」「繁盛の意味を込めた半畳」「一富士二鷹三茄子の装飾」「折り鶴の釘隠し」など当時の贅を尽くした建築技術の数々が。

樹々が力強く生い茂る庭園内には「水琴窟(すいきんくつ)」という趣向も。縁側に腰を下ろして、耳をすませていると「ピシャーン」という不思議な音が聴こえてきます。これは、地中に埋められた甕にししおどしから流れ落ちた水のしずくが当たってまるで琴のような音がなる、今では見られない造園技術の粋なのだそうです。雨が降った後は特に音がよく聴こえるのだとか。

座敷の片隅には便所が当時のまま残されており、床には大正初期から昭和10年代にかけて日本で生産された「マジョリカタイル」が用いられており、当時のハイカラな流行を取り入れていることも伺えます。

倉庫と敷地周りに施された、工夫と機能美

離れ座敷の他にも漆喰の白壁が映える倉庫や、旧福島城の塀跡を感じることのできる石橋や裏門など見どころがたくさん。

 

この「1号倉庫」の下壁部分は「海鼠壁(なまこかべ)」と呼ばれ、壁面に平瓦を並べて貼り、瓦の継ぎ目に漆喰を盛るようにして塗る日本の伝統的な壁塗りの様式です。倉庫という建物の用途上、防火性のある漆喰壁を用いることがよしとされていたものの漆喰は水には弱いため、防火と防水両方の機能を果たすよう八女では明治期より用いられました。

裏門から出ると、敷地の周りが水路で囲まれていることに気づきます。これは堺屋の敷地が、旧福島城の外堀跡に面しているからで、石積みの水汲み場や石橋など、当時の生活の様子が少し見えてくるような景色が今もそのまま残されています。

解体するには偲びない、その一言がこの場所を救った

どこを見ても惚れ惚れするような意匠が施されている「堺屋」ですが、旧往還道に面した主屋は早くに失われており、同様に離れ座敷と倉庫も解体されるはずだったのです。しかし離れ座敷の解体を請け負った大工が、この建物に施された見事な建築技術と貴重な建材を見たところ、解体するに偲びないと助言し、解体は取りやめになり市に寄贈されることになったのでした。

現在では、展示やコンサートなどイベント時にも使用できるよう管理棟が設置され、誰でも気軽に訪れることのできる、八女福島の誇る観光スポットとなっています。現在では、「雛の里・八女ぼんぼり祭り」のイベントの一環として、木下家の所有する箱雛を見ることもできます。

八女の宮大工の技術を間近で見るのもよし、自然の風景や音に癒されるのもよし、期間限定の箱雛巡りもよし、八女福島の伝統的な町並みの中心に位置する「堺屋(旧木下家住宅)」で、自分なりの文化体験として是非足を運んでみてはいかがでしょうか。

◉堺屋(旧木下家住宅)
住所:八女市本町184
時間:10:00-17:00
電話:0943-23-7611
休館日:月曜日(月曜日が休日の場合は翌日)
アクセス:西鉄・堀川バス福島下車より徒歩12分

 


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