平兵衛製陶所

三川内焼窯元/長崎県佐世保市

平兵衛製陶所は陶磁器の産地長崎県佐世保市三川内町にある土鍋専門の窯元です。三川内焼で焼かれる焼き物は、一般的に白磁や青磁に唐子絵と呼ばれる絵付けがされたものが特徴ですが、先々代の中里仁太郎さんが京都での修行中に、当時の肥前地区(現在の佐賀県および長崎県)にはなかった土鍋の製造技術を習得し、三川内に戻って先代の中里洋治さんとともに土鍋作りを始めました。これが平兵衛製陶所の土鍋製造の始まりです。土鍋を作る上で重要なのは直火にかけても割れにくい耐熱性や急熱急冷にも耐え得ることが挙げられます。土鍋作りに必要な陶土を自社で作るなどすべての工程を一貫生産しています。 デザインは40年近く変わらないシンプルなデザインで、一般的な土鍋より浅めに設計されているため、業務用として旅館やホテルなどで重ねて保管しやすくなっています。現在は先代と共に新しい当主である中里哲治さんが平兵製陶所の土鍋作りを受け継いでいます。

■歴史・土地性:平戸藩の御用窯として発展した、三河内焼

三川内焼の歴史は、16世紀末頃に平戸藩(現在の長崎県)領主・松浦鎮信が朝鮮から陶工を連れて帰ったことが始まりです。1633年には針尾島(長崎県佐世保市)で網代陶石と呼ばれる白磁鉱が発見され、他の焼きものから抜きん出た白さと称される三川内焼の基盤となります。さらに美しい川からの水と、燃料となる豊かな緑にも恵まれ、三川内の地は白磁の窯場となりました。そして平戸藩からの庇護を受けた「御用窯」として、産地全体で幕府や朝廷への献上品を制作、三川内焼の「美」を生み出す技術が惜しみなく追求されていたといいます。その繊細な技工は「唐子絵(からこえ)」や「菊花細工」「卵殻手(らんかくで)」などが有名です。一方、平兵衛製陶所は、三河内焼の象徴である白磁ではなく、土鍋の制作に道を見つけました。現在の代表、中里哲治さんの先々代が京都での修行で習得した技術を継承、発展させています。 

■素材・技術:焼き締めない焼成で、あらゆる火に耐える土鍋に 

土鍋の原料は粘土ですが、九州で採れるものは高温に耐えられないため、全国各地から土鍋用の粘土を取り寄せて自社でブレンドし、すべて手仕事で制作しています。ガスや炭火などあらゆる火に対応し、急熱急冷に耐える平兵衛製陶所の土鍋は、焼成の際に焼き締めず、含みやゆるみをもたせて焼くことで、空焚きしても割れにくい構造になっています。鍋の柄は幅広い層が手に取りやすい渋すぎないもので、サイズも定番の尺一寸鍋、8寸鍋の他に、4寸目玉焼鍋をつくるなど、用途に合わせた商品開発もしています。2010年には三川内で登窯を復活させ、他の窯元と共同で窯を焚くという中里さん。小さな産地だからこそ、他の窯元がライバルであり協力者であるという結束で、より良いものを作ろうと土鍋に向き合っています。

長崎県のつくりて 全4社

長崎県波佐見町

マルヒロ

波佐見焼商社
マルヒロ マルヒロ

マルヒロは波佐見焼の露店商、馬場廣男商店として昭和32年(1957年)長崎県波佐見町で創業。波佐見焼は有田焼の下請けとして発展してきた歴史があり、近年までその名…

長崎県波佐見町

西海陶器

波佐見焼商社
西海陶器 西海陶器

西海陶器株式会社は1957年に肥前地区(九州北西部)一帯の焼き物の総合商社として設立され、波佐見焼を中心に陶磁器の企画・卸販売などを行っています。創業者の児玉薫…

長崎県佐世保市

平兵衛製陶所

三川内焼窯元
平兵衛製陶所 平兵衛製陶所

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長崎県五島市
椿オイル化粧品メーカー

タテイシ

タテイシは1958年にLPガス販売業として創業しました。五島市商工会の会長でもあった代表の立石光徳さんは、福江島に自生する椿を活かして島を活性化したいと思い、2…

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