カネタ織物株式会社
(遠州織物機屋/静岡県・掛川市)
カネタ織物は1954年に静岡県西部の遠州灘に面する掛川市でコーデュロイの織屋として創業しました。掛川市周辺はコーデュロイの国内生産量の約9割をつくる産地で、古くは海洋航路の中継地として栄え、江戸時代から船の帆などの厚手織物の産地でしたが、コーデュロイが輸入されると日本独自のコーデュロイを開発し海外へ輸出するほどに発展しました。コーデュロイは緯パイルの組織で織り上げた後に、パイルを切り、生地の畝(うね)を立たせ、余分な毛羽を焼くなど様々な工程があり、各工程は産地内の専門工場で行われます。安価な海外製コーデュロイの輸入が始まるとコーデュロイの専門工場は減り、カネタ織物も一時コーデュロイ製造をやめていましたが、3代目の太田稔さんは産地にある技術を残したいと思いコーデュロイづくりを再開しました。現在は息子の充俊さんと共に、産地に残る技術を活かしながらレピア機や旧式シャトル織機で、高密度織物など天然素材を使った新しい生地づくりに挑戦しています。