【雑感にょろり】藍染めメダカ 久留米絣と水の関係

【雑感にょろり】藍染めメダカ 久留米絣と水の関係

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絣の発展に欠かせない「水」。二つの川に挟まれた八女・広川地区。

今日は広川にある藍染絣工房の3代目、山村衛さん・ツナヨさんご夫婦にお話を伺いにいきます。普段から4代目の山村健さん、5代目の研介さんとはお話する機会は頻繁にありますが、94歳になられる衛さんにお話を伺える機会はなかなかありません。織元3世代に取材ができるのは本当に貴重な経験です。八女郡広川町は絣の織元がとても多い地域です。筑後川の支流である、広川と長延川という2つの川に挟まれており、染めや洗いの工程で水が必要になる久留米絣作りの環境が整っていたのも織元の多い一因かもしれません。今では水道があるので、川から引いた水路はほとんど使われていないそうですが、昔は工房の裏にあった用水路で織り上がった布をよく晒していたといいます。戦後の生産反数が多い時代には、用水路だけでは場所が足りず、より大きな広川・長延川まで糸や布を持っていって、水で流されないように石を重りにして晒していたそうです。急な雨の時には焦って川まで取りに行ったといいます。

化学染料の名残の水槽には、藍染メダカが泳ぐ。

山村さんの工房は、今は染色は天然藍染のみですが、戦後の1950年代から1980年代くらいまでは化学染料も行っていました。戦後のガチャマン景気で久留米絣が最も発展した時期で、今の久留米絣存続の基礎となる機械織り・化学染料の工程が確立された時代です。その時代に染めの工程で使っていた水槽は、化学染料をやめて天然藍染に専念するようになってからは使わなくなり、今は5代目の研介さんの趣味でもあるメダカの養育に使われています。中を覗いてみると、青いメダカが泳いでいました。もしや藍染されたメダカ!?と思ってしまいましたが、黒メダカと白メダカを交配させてできる品種のようです。この70年だけでも大きく変化した久留米絣業界。消えていってしまうその記憶を残し、織元に残る痕跡を掘り起こしていかねければと思う日々です。渡邊

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