【研究まにまに】「久留米絣デザインの二〇〇年」展ができるまで(1)構想

 

久留米絣におけるロングライフデザインとは?

現在博多のD&DEPARTMENT FUKUOKA(以下D)で開催中の「久留米絣デザインの二〇〇年」展。Dで久留米絣に関する展示をすることになった時、テーマを考える上でモチーフとなったのが、Dのショップコンセプト「ロングライフデザイン」でした。

これに関係させたいと考えて思い出したのが、明治時代の博覧会の展示図録「絣之泉」です。

途中になっていたこの記事。バックアップの資料を集めつつ、いずれ続きを書こうと思っていたものでした。この、全国から集められた絣図案のなかから久留米絣を抜き出して、現代の久留米絣のデザインと比べると面白いのではないかと考えたのです。1903年の展覧会と2016年現在、113年の間で受け継がれてきているデザインがあれば、それは「ロングライフデザイン」といえるのではないか?そう思ったのです。

いろいろと調べ考え、展示は最終的に、久留米絣のデザイン史をたどり、特にデザインの面で大きな変化のあった明治時代を大きく取り上げるという方向性になりました。

明治維新に当たって染織産業には劇的な変化が起こり、それは絣業界も例外ではありませんでした。動力織機や化学染料の導入、戦争などによる需要の浮き沈み、これらすべてがそのデザインに大きな影響を与えました。

そのなかで、久留米絣がどのような柄を現在までつないできたのか?どうしても文字による説明の多い今回の展示ですが、根本はそこにあります。国内で唯一、絣産業として成立している久留米絣がここまで生き残ってきた理由のひとつも。

今回展示している生地は、これまで数年かけて白水達が集めてきたものと、彼らが外部のデザイナーさんや久留米絣の織元さんと一緒に作り上げたもの。そして、うなぎの寝床のもんぺ生地を織って下さっている下川織物さんで30-40年前に織られた貴重な生地です。この下川さんの生地については別稿で改めてご紹介したいと思います。岡本

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「久留米絣デザインの二〇〇年」
D&DEPARTMENT FUKUOKA
2016年09月29日(木) – 2016年11月15日(火)
11:00〜20:00(水曜定休)
http://www.d-department.com/jp/archives/sights/35715

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