【暮らし】茶粥と昔話し

府川和泉 唐津焼 斑

病気からはじまった2015年

2015年、正月から妻が発熱し、仕事初めと思った5日から僕が発熱し、息子は水疱瘡(みずぼうそう)にかかってしまいました。これは偶然ではなくおそらく必然だと感じています。僕は今年で30歳になります。18歳まで地元である佐賀県で過ごし、親元を離れ大分で一人暮らしをはじめました。それからというもの、興味が赴くままに目の前のことをやってみるという、あっという間の12年間を過ごしたように感じます。

大学の時に抱えた二つの食生活の乱れ
設計での夜更かしと、本への投資から。

大学では建築学を先攻し夜中まで設計やコンペをやって、友達と夜中にラーメンを食べにいって、朝マックして帰るという今では考えられない生活をしていました。それはそれで体が持っていたので今となっては良き思いでですが、大学3年の中盤でしょうか、いつもの如く徹夜して朝マックをして家に帰って昼起きてみると胃がズーンと重いのです。それははじめての体験でした。そう胃もたれです。「おー、これがCMでやってる胃もたれという現象か」と感動したのもつかの間、気分が悪く食生活を改めようと心の中では誓いました。

僕は本が好きです。高校生まではサッカーをひたすらやっていたので本なんて一冊も読んだことがなく、本の存在価値がまったく理解できませんでした。しかし、大学に入って本格的にサッカーをやらなくなると、残ったのは膨大なもてあそばれた時間のみ。大学1年生、見知らぬ地でまだ友人もそう多くない時期、自転車で町を探検したり、ボーっと過ごしても有り余る時間が僕の生活を襲ってきます。ふと今はなき大分PARCOの地下にある書店に立ち寄ってみました。そこでフラフラと店内を物色して1冊の本に手を伸ばしました。それは今もはっきりと覚えています。今では映画化もされた辻内智貴さんの「セイジ」という小説でした。僕にとっては小説という世界自体未知数で、その物語に感動をして「ああ、本って得るものが多いし、面白いんだ。」と痛感しました。

最近わかってきたのですが、僕は極端な性格のようです。本がいいかも!となれば、一日中本を読むという生活を送るようになりました。仕送りで親からもらうお金はほとんど本に使い。しかも、僕のどうでもいいこだわりなのですが基本的には文庫本は買いません。単行本を買う。そして新刊を買うというポリシーのもと、生活費は本に蝕まれ、食べることができなくなってしまいました。ただの馬鹿です。

大学の頃は、小説やエッセイ、建築系の本を読むことが多かったように記憶しています。ある月、仕送りで送られてきた日に、そのお金で本をドバーっと買ってしまい、まったくお金がないという状況に陥りました。そう思い出しました。大学3年の12月です。大体は友達の家でご飯を食べさせてもらっていたのですが、友達もまったくお金がなく食費は捻出できませんでした。僕らは生協でも少し働いていたので生協の職員のおっちゃんに生協の弁当の廃棄を貰うことに決めました。毎日毎日唐揚げ弁当。野菜はあの肉の下に敷いてあるシナッシナの千切りキャベツです。もちろんのことそれで野菜の摂取量が十分な訳ありません。

年末、僕は実家である佐賀に帰って、野菜や魚に飢えていたのでしょう、刺身とおせちをこれでもかと食べました。すると内蔵がびっくりしたのか便秘になって、熱が39度出て、これまでにないくらいの恐ろしい苦痛を強いられることとなりました。

体を崩した時のお粥は、
本当に美味しい。

大分話しがそれましたが、体調を崩した時にお粥を食べます。茶碗より少し大きい唐津焼・府川和泉さんの器です。白粥の時もありますし、茶粥の時もありますが、大体シンプルです。妻が漬け物や鰹節、梅干しを付け合わせに何種類か添えてくれることも多く、それが五臓六腑に染み渡ります。

嗚呼、はじめはういうことを書こうとしたのではありませんでした。体調を病気になったのも、仕事のやり方もあまりよくなく、妻も子育てで忙しく、バタバタとしていたので、しっかり生活を見直したい。という決意表明のための文章だったのです。もうただただ、大学の苦行の話になってしまいましたが、今年から家でも、仕事場でも環境改善をしたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

P.S 台湾の海鮮粥と洋々閣の朝粥

そうそう、実はお粥がすごく好きなのですが、僕の中のベストオブお粥は台湾の高雄の夜市で食べた海鮮粥です。台湾の友人が連れて行ってくれた屋台で、エビ・イカ・貝柱が入っていて、出汁がビシッと効いていて、もう最高に美味しかったことを覚えています。あとは、夜市独特の雰囲気も手伝ったのでしょう。今も忘れる事ができないNO1お粥です。

それと、もう一つお粥での思い出は佐賀の洋々閣で食べた朝粥。ここの朝粥は麦100%でした。チュルチュルとした食感です。今までに食べたことがない味でした。洋々閣は佐賀・唐津焼の陶芸家中里隆さんの展示室も併設しています。素晴らしい宿です。どうぞ泊まってみてください。では。

白水

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