【工場訪問】町規模の焼物工場、波佐見焼へ。

マルヒロ 馬場さん

昔は市の3分の1の人が従事していた
町ぐるみの分業、焼物産業波佐見焼。

うなぎの寝床で紹介させてもらっている馬場商店のHASAMIマグ、西海陶器のハサミポーセリン。実は、まだちゃんとは生産の現場を見た事がなくて、今回西海陶器の伊藤さん、正林さん、馬場商店の馬場さんに案内してもらい、現場をいくつか回らせてもらいました。「分業」とは言葉では聞いていたものの、どれくらいの規模感で、どの程度の分業か想像があまりついていなかったのですが、かなり細分化された分業が図られていました。歴史は組合のHPを見てもらうとして、僕が見てきたものと感想を少しお伝えしたいと思います。

分業

多くの人が関わることはいいことなのか?
メリットとデメリットがあるよなー。

50人ほどの人が働く窯元です。生地の状態から様々な絵付けの工程を経て、釉薬をかけ、焼き、検品まで行います。ベルトコンベヤで素焼きの状態の生地が流れてきて、自分のやるべきところに絵付けをして、次の人に渡す。流れ作業ではあるのですが、それは人の手でもちろん行なわれています。僕らはもんぺを作っていて、縫製工場との取引をやっていますが、それに似た雰囲気を感じました。あとは、様々な年齢層の方々がそれぞれの持ち場で頑張っていて、地域に産業があるということがいいなとも思いました。おそらく波佐見、有田に住んでる方で「波佐見焼」「有田焼」を知らないという人はいないでしょう。

そういう点で見ると、「久留米絣」「八女福島仏壇」「八女提灯」「石灯籠」「竹細工」などは、従事している人は限られていて、産業規模も、いくつかの会社と、ある一定規模の分業で成り立っているので、市民全員、県民全員が認知しながら関わるというのは結構むずかしい話かもしれません。それぞれの規模感とそれぞれのつくりての目標があるので、なんとも言えませんが、多くの人が産業に関わるということはいいことだなと感じています。

例えば、内職で波佐見焼の一部に従事していたとして、親戚に波佐見焼っていいよね。と言われた時に「私も一部に関わっているんだよ。」と言える誇りを持てたり、そこでコミュニケーションが生まれたりするくらいなればいいなと。実際僕も伝統工芸、ものづくりというものに関わるようになってから、そういう機会が増えました。それは、より多くの人がそういう状況になればいいなと願っています。それには、ある一定の産業規模が必要です。しかしながら(行ったり来たりすみません)こじんまりとした産業規模だからこそ、ゆっくりとやれるという点もあり、メリット、デメリットをしっかり吟味しながら、今後のことを考えていく必要があるなと感じました。

西海陶器
朝案内してもらった、西海陶器の伊藤さんと正林さん。ありがとうございました!!

1ハサミポーセリン
西海陶器さんの僕らが扱っているシリーズ「Hasami Porcelain」スタッキングできる。

整理整頓

分業における大事なことは、
整理整頓、バトンつなぎ、コミュニケーション。

波佐見焼は、なんども書いているように分業化がかなり進んでいます。全ての工場でそれぞれが持ち場の役割を全うしています。しかしながら、みんな機械ではないし、一つ一つの注文に柔軟に対応していく必要があります。この写真の整理整頓というのは、やっぱり重みがありました。ある一つの工程で不備があったら、商品が綺麗にあがらなくなるし、それぞれの工程が大事だと言えます。とりまとめをする問屋さん、窯元さんは職人さんたちにどう伝えて、より生産工程を効率良く、進めていくかを思考しているように見えました。

少しの伝言ミスが廃棄やB品をつくることに繋がるので、この細かい指示書の作り方、伝え方が味噌だと言えます。これは分業化された産地だと必ず出て来る問題のようにも感じましたが、小さい工房であれ工場であれ、僕らみたいな小さな事業者でも、普通の生活している人でも通じる必要なことのように思えました。

型屋さん

3種類の型屋さんの仕事と、生地の成型。
作り手、売り手、買い手の三方良しをつくる。

「産地に後継者と若い人が少なくてね。」と嘆く声もいくつか聞きました。でも僕らが見る限りではある一定の若い方もしっかりと働いていて、活気がないようには見えませんでした。やっぱりバブルの頃から比べると産業規模は3分の1から4分の1になったとおっしゃってましたので、厳しいのでしょうが。

午後からは、馬場商店の馬場さんに、型屋さん木地屋さんをメインに案内してもらいました。型は大きくわけると排泥鋳込、圧力鋳込、轆轤。それぞれつくる形状や生産ロットによって型の種類を使い分けます。型屋さんも、それぞれの得意分野があります。馬場商店の馬場さんは、その工程をよく理解していて、その技術に合った商品を開発したり、この技術とこの技術の組み合わせでこんなことができる。ということを考えられながらものづくりをしているのだなーと感じました。

ものづくりの現場は、職人さんだめでもダメだし、売る人間だけでもだめだし。どちらも、お互いのことをある程度の領域までは知っておかなければならないと思います。そうしなければ、やっぱりしっかり使い手と作り手が良い塩梅で交わることにならない。過剰供給がおきたり、全然在庫が足りなかったり、そういう現象が起きます。日本には「三方良し」という言葉がありますが、やっぱりみんなにとって良い塩梅で作り込む。それが、僕らや馬場さんのような人間の社会的役割だと思います。

型
石膏。いいなー。

型2
型タワー。

ナイス同級生コンビ
左がもじゃもじゃが目印の馬場さん、右がマブダチのパートナー福島さん。
マルヒロやることは着実に、夢は大きく。マルヒロ。

上絵転写の工房
上絵転写をしている工房。シルクスクリーンの版をつくっている。印刷を少しだけする僕にとっては、夢のような場所。

有田屋 波佐見
お昼ご飯は、有田屋のちゃんぽーん。

白水

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