【企画展】あと3日!裏山の石から生まれる 緑のガラス工芸展

http://unagino-nedoko.net/hagiglass/

150年前の思想を引き継ぐ、緑のガラス

山口県萩市、毛利氏が治める長州藩の本拠地となった城下町として有名です。旧武家屋敷が残り、城跡に近づくにつれてお屋敷が大きくなり、武家屋敷跡に夏みかんの栽培が盛んに行われてもいます。萩の工芸といえば萩焼を思い浮かべる方も多いと思いますが、実はガラスも全国の中で珍しい精製を行っているところなのです。

そもそも、萩でガラスの生産が始まったのは幕末の激動の時代、安政6年(1859年)でした。創始者は長州藩の科学者である中嶋治平。江戸の切り子職人を招いて優れた技術と、萩ならではの水晶石を原料とした透明感のある美しさは、当時朝廷からも高い評価を受けていました。江戸時代後期は、鉛ガラスが主流だったそうです。現在のガラスのように丈夫ではなく、精製はしやすいが鉛分の多いガラスは壊れやすい。そのため当時のガラスは日用品に使われることはなく、装飾としてやビードロなどの玩具として使われ、壊れたら溶かして再利用するという消耗品でした。そんな状況の中、中嶋治平はガラスの配合を加減して良質のものをつくるべきだと藩に建白し、蒸気機関の動力を利用してガラス産業を進めていく重要性を唱えていました。

しかし長州藩は攘夷開戦が始まる多難な時期であったため、これ以後すべてが軍事を優先する動きに変わっていきました。鉛ガラスが主流の当時としては、全く新しい考えを海外から持ち込み、産業レベルで実現しようとした先駆者の試みは惜しくも実現しないまま消えてしまったのです。

それから150年近く、萩ガラスというものは途絶えていました。そんな中、萩ガラス工房は、平成4年(1992年)に萩市笠山に設立されます。そして代表の藤田さんは萩ガラスについて、先駆者・中嶋治平の残した古文書を紐解き、残された治平遺品や残存している記録から当時の復刻品の製作を開始したのです。前半部分で述べた中嶋治平の内容についても、藤田さんが東京大学の資料室で読み解いたものです。
そして現在、萩ガラス工房では地元「笠山」でのみ採掘される石英玄武岩を原石から粉砕し、時間をかけて溶融・精製するという、原石からガラスまでの一貫生産を行っています。

150年前の中嶋治平の想いが藤田さんに引き継がれ、緑の硬質なガラスとなって萩ガラスは今もつくられているのです。ここでは伝えきることはできませんが、8月3日(土)のトークイベントで更にお話を伺えると思います。若干まだ空きがありますので、是非直接聞きに来てもらえたらと思います。前田

 

◯トークイベント 大人のための化学講座・ガラス工芸編 「ガラスは何から出来ている?」
-地元の石英玄武岩で萩ガラスを復活させた藤田さんに聞く-
萩ガラス工房の代表・藤田さんから萩ガラス工房の取り組み、ガラス造りの話を化学の視点を交えながら伺います。
2019年8月3日(土)14時 ~(60分程度)
参加費:500円 冷茶付き
定員:20名(要予約)
↓こちらのページ下部お申し込みフォームよりお願いします。
http://unagino-nedoko.net/hagiglass/

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◯裏山の石から生まれる 緑のガラス工芸展
– 萩ガラス工房の取り組み –
2019年8月2日(金)~18日(日)
会場:うなぎの寝床 旧寺崎邸
休み:火曜・水曜休み
時間:11:30-18:00
住所:福岡県八女市本町327
電話: 0943-8021
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